メイド服を着せられたショタアルアサがいかがわしい遊びに興じるお話。
少年愛的なフェティシズムを匂わせた舞台設定です。
すんすんと情けない声が聞こえて、目が覚めた。青いライトにぼんやりとシルエットが浮かび上がる部屋のすみっこで、アーサーが膝を抱えて泣いている。清楚なヘッドドレスに飾られた金髪が、真っ黒なスカートから伸びた白い膝小僧に押し付けられている。

「アーサー?泣いてるの?」
「アル、アル。俺、帰りたい…」

俺たちが閉じ込められているこの小さな部屋は、四方を大きな水槽に囲まれていて、水面を介して鈍く弱い光しか届かない。そんな、薄暗く青い部屋の中でも、涙にうるうると溺れたアーサーの目は、とてもきれいなみどり色をしていた。

「こんなところに閉じ込められて、みんなだって、きっと心配してる。俺、帰りたい」

不安を打ち明けたことで、少し気持ちが落ち着いたんだろう。しゃくりあげていた呼吸を整えて、さっきよりははっきりとした声で、アーサーは言った。
ここでは、俺たちは子どもの姿をしていて、二人とも、可愛らしいメイド服を纏っている。俺たちの性別は男だけれど、少年特有のすんなりしたからだには、たっぷりと膨らんだブラウスの袖も、フリルに飾られたエプロンも、膨らんだ黒いスカートだってよく似合っている。少なくとも、メイド服姿の小さなアーサーはとても可愛い。そんな可愛いアーサーが、しくしくと弱々しく泣いている。

「こわいんだね、アーサー」
彼の不安に同調すると、アーサーは堰を切ったように泣き出した。俺はアーサーに近寄って、震えるヘッドドレスごと、彼の丸い頭を胸に抱いて言った。
「大丈夫。大丈夫だよ、アーサー。君は一人じゃない。俺が居るよ。俺が君を守ってあげる」
「うん。アル…ありがと…」
ぎゅっと抱きしめて、長いまつげを濡らす涙を唇で拭ってあげると、アーサーは少しだけ落ち着いてくれたようだった。
「アーサー。きもちいいこと、する?」
すりよってくる柔らかい頬を撫でながら聞くと、アーサーは恥ずかしそうに、だけどはっきりと頷いた。

俺たちはさっそく向かい合わせに立ち上がって、艶のある黒いスカートの裾を持ち上げた。未発達な、白くて細い足、控えめなレースがあしらわれたドロワーズ、ふっくらとあどけない腹部。お互いの下半身をさらし合って、ぴったりと下腹部を密着させた。
俺たちは、並ぶと、アーサーの方がほんの少しだけ小さい。だから、「きもちいいこと」をするときは、ピントがぼやけるほどの近さにアーサーの伏せた長いまつげが見える。今は泣いたばかりだから、乾ききっていない涙が、りんごみたいに赤くなったほっぺたを伝った痕も見えた。俺は、やわらかく丸い頬に舌を伸ばして、動いて、とアーサーを促す。アーサーは持ち上げたスカートの裾をお互いのからだの間でぎゅっと握り締め、おずおずとからだを揺らし始めた。
「あっ…はずかしい、アル…」
吐息がかかる距離でからだを揺すりながら、アーサーが困った顔をする。
「大丈夫、俺もするから…ほら…」
アーサーの揺れに合わせて動くと、押し付けあった腰から起こる単調な振動は、間もなく何かを探るような複雑な動きに変わる。こうなれば、もう、アーサーは、「きもちいいこと」に夢中だ。首筋まで赤くして、短い声をあげ、びしょびしょに濡れたみどりの視線が俺に絡んで離れない。

「きもちいいね…」
アーサーの、瑞々しく熟れたくだものみたいな唇と、そこから覗くたっぷりと水分を湛えた舌に吸い付いて、俺は、水槽の向こうから感じる青い視線に、うっとりと笑いかけてやった。

ここは、悪趣味な水槽だ。俺たちは、ここに棲み、夜ごとにつたなく熱を散らす熱帯魚だ。水槽の向こう側には、俺たちを鑑賞しているやつがいて、そいつは、いまこの瞬間も、おさない睦み合いを眺めているんだ。

せいぜい、楽しむといいさ。指を咥えて、そこで見ているといい。
ここでは俺は非力だけれど、アーサーは、彼だけは、俺のものなんだ。
俺は、それだけで満足だよ。他にはなにもいらない。
彼さえいれば、世界を手に入れたも同然だ。

未熟なからだは熱を上手に発散させることができなくて、くすぶった余韻を鈍くこもらせたまま、それでも俺たちはどうにか収まり得て、冷たい床に倒れこんだ。
その動きに反応したのか、空調が低いうなり声を上げて風を送り出し始めた。排気口から甘い空気が漂ってきて、こうなると、まもなく俺たちは眠りに落ちる。
からだを持ち上げていられなくて、俺は、指先だけでアーサーを探って、触れたぬくもりをゆるく握った。
脳が痺れて、耳の奥の、どこか遠いところで音叉が鳴りひびく。
音は反響して強くなり、弱くなり、遠ざかってゆく。

アーサー。
かえりたいなんて、いわないで。
どこにもいかないで。
ずっとここで、おれと、きもちいいことをしていよう。

意識は浚われ、もうなにも、判らなくなる。
水槽の向こうの青い瞳が離れ、部屋は暗闇につつまれた。

※このショタアルアサは「青い瞳」の持ち主に飼われている、実験動物的なイメージです。
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2017/04/01

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